もう10年以上も前の事になる。ある晩のおかずに豚の生姜焼きが出てきた。
生姜焼きは学生の頃から定食屋で食べる定番メニューで、お店によって味は変わるがまず外れる事はない。
そんな生姜焼きだが、家では外れる事がよくあった。
その晩、なんか味が物足りなくて、思わずつまみとして買ってあった焼き鳥の缶詰を開けて食べ始めてしまった。。。
子供達もおいしそうに焼き鳥缶に箸を伸ばす。
なんで焼き鳥食べてんの?
もういい!!
生姜焼きはその日以来、我が家の食卓に上がらなくなった。。。
それから10年の月日が流れたある日、豚の生姜焼きが出てきた!
しょしょ生姜焼きだ。。。10年振りだ。。。
ここは絶対にそそうがあってはならない! 冷静に。冷静に。普段通りに。。。
お!今日は生姜焼きなんだ。
10年振りのチャンスなんだ。。。何事もなく「おいしいね!」の一言を言いながら食べればいい。そんなに難しいことではない!緊張するな!
ちょと味が薄い。。。
「うん、おいひいね」
え、そぉう?
うん、おいしいよ。
大丈夫、ばれてはいない。
(長男、次男)
長男「なんか味が薄い。」
心の声
「何言ってんだ!わかってても口にするな!」「世の中にはついていいウソがたくさんあるんだ!」
いや、そんなことないだろ?おいひいよ。
動揺するな俺!
醤油が足りないんじゃない?
心の声
「もうそれ以上言うな!また10年食えなくなるぞ!」
心の声「お前は小さかったから気づいていないだろうが、これは初めての料理ではなく、久しぶりに食べる料理なんだよ。文句は言ってないけど、お父さんが余計な事をしたばかりに10年食べれなかった料理なんだよ!」
そう?醤油が足りなかったか?十分味付けしたんだけど。
まぁこんなもんじゃない。
次はちょっと濃くしてみるよ。
神様ありがとう。
たぶん、俺が気づいていないだけで、食べれなくなっている料理はたくさんあるのかもしれない。。。